存在除去

野矢茂樹さんの「入門! 論理学」を読んでいて、個人的にわかりにくかったところがあったのでメモ。

存在量化の除去則

ある x が存在し [Ax]、Aa ならば C -> C

これを、「アンパンを食べたものには天罰が下る」といった文を例に説明していたが、この C が何者なのか良くわからなかった。
まとめてみる。

例文はこうだった。

  • 私のアンパンを食べたものがいる 【前提 1】
  • 私のアンパンを食べたものには天罰が下る 【前提 2】
  • 天罰が下るものがいる 【結論】

これを厳密に推論してゆくと以下のようになる。

  1. ある x が存在し [x はアンパンを食べた] 【前提 1】
  2. [ある x が存在し [x はアンパンを食べた]] ならば x には天罰が下る 【前提 2 (条件法)】
  3. ある a が存在し [a はアンパンを食べた] (a は不確定名)
  4. [ある a が存在し [a はアンパンを食べた]] ならば a には天罰が下る (2 と 3)
  5. a には天罰が下る (3 と 4 条件法除去)
  6. ある x が存在し [x は天罰が下る] (5 と全称導入) 【結論】

整理してみれば、何だこれだけかという感じである。結局 C は [天罰が下るものがいる] と言っているだけである。
こう書くと、そもそも不確定名として任意の a を取る必要があるのかという気もするのだが、まあ C を直接導くわけにはゆかないからだろう。
それと、2 と 3 から 4 を導いても良いのだろうかという疑問もあるが、これも不確定名が理解できればはっきりすると思う。たぶん。

一応、上に書いた存在量化の除去則の記号に対応する例を書いておく。

  • Ax = ある x が存在し [x はアンパンを食べた]
    • (私のアンパンを食べたものがいる)
  • Aa = ある a が存在し [a はアンパンを食べた]
    • (a が私のアンパンを食べた)
  • C = ある x が存在し [x は天罰が下る]

...とりあえず、このアンパンがこしあんパンならば天罰が下るのは必須であろう (条件則)。